AIに何かを頼むとき、うまくいかない原因のほとんどは「AIの性能」ではありませんでした。
ボクの場合、原因は頼み方が曖昧だったことと、AIが最初に思いついた案をそのまま出してきたことの2つでした。
今回は、この2つを潰すためにボクがAIパートナーのクロ(Claude)に出した指示を紹介します。長い設定文はいりません。頼む前に足す一言と、答える前にやってもらうこと。それだけです。
きっかけは「言ったつもり」が通じていなかったこと
ある日、クロに作ってもらったファイルを開いたら、頼んだはずの中身が入っていませんでした。
怒る気にはなれませんでした。あとで自分の送った文章を読み返したら、たしかにボクはそれを書いていなかったからです。会話の途中で「じゃあこうしよう」と決めたつもりになっていて、指示としては送っていなかった。
音声入力を使っていると、これが本当に起きます。喋っているときは頭の中で全部つながっているので、抜けに気づけないんです。

ひとつめ:指示を「言い直して」もらう
そこで出した指示がこれです。
答える前に、ボクの指示をあなたの言葉で書き直して見せて。曖昧なところ、抜けている条件、矛盾があれば指摘して。
やってみると、効き方が想像と違いました。ボクは「AIの誤解を防ぐため」だと思っていたのですが、実際にいちばん多かったのはボク自身の指示が足りていないことに気づくパターンでした。
たとえばこんな返しが来ます。
指示はこう理解しました。ただ「返事をするとき」の範囲が広すぎます。このままだと、ファイル名の確認みたいな軽いやり取りにも同じ手間がかかります。
言われて初めて「ああ、たしかに全部にやられたら鬱陶しいな」と気づく。頼んだ本人が、頼んだ内容の穴に気づかされるわけです。
ここでひとつだけ注意があります。この指示をそのまま置いておくと、毎回「あなたの指示のここが悪い」から会話が始まって、けっこう疲れます。なのでボクはこう足しました。
問題がなければ「指示は明確」の一言で済ませて。毎回の粗探しはしないで。
これで、引っかかるときだけ止まってくれるようになりました。
ふたつめ:賛成と反対で議論してから結論を出す
もうひとつは、こちらです。
結論を出す前に、賛成する立場と反対する立場の両方で検討して。反対側のいちばん強い反論に答えてから結論を出して。
AIは、こちらが「こうしたい」と言うと、だいたい賛成してくれます。理由まで丁寧に付けて。それが気持ちいいので、ボクはずっと気づいていませんでした。賛成の理由しか聞いていない状態で決めていたことに。
この指示を入れてから、返ってくるものが変わりました。
あるとき、判定のしかたを「タイトルに特定の言葉が入っていたら」で決めようとしたことがあります。素直に良さそうな案でした。でもクロは、手元のデータで実際に試してから、こう返してきました。
その案は却下しました。305件のうち122件が誤って引っかかります。関係ない記事まで巻き込むので、別の条件を主軸にします。
これ、賛成の理由だけ聞いていたら、たぶんそのまま採用していました。反対側を担当する人がいないと、思いつきがそのまま仕様になってしまうんです。
大事なのは「議論を見せなくていい」と言うこと
最初、この指示を入れたら返事がやたら長くなりました。賛成派の意見、反対派の意見、それへの答え……と全部書いてくるからです。読むのが大変で、これでは続きません。
そこで一言足しました。
議論の中身は書かなくていい。結論だけ書いて。
ボクが欲しいのは「議論を戦わせたうえで出てきた結論」であって、議論の過程そのものではありません。ここをはっきりさせたら、返事が短くなって、しかも中身は前より確かになりました。
逆に言うと、この一言がないと「丁寧に見えるけど読むのが面倒な返事」が量産されます。AIへの指示は、やってほしいことと、見せてほしいものを分けて書くと一気に扱いやすくなります。
どこに使うかを決めておく
この2つ、全部の会話に使うと重たいです。しかも使えば使うほどAIの使用量を食います。
そこでクロと相談して、こういう線引きにしました。
1回の間違いが、何度もコピーされて増えるものだけに使う。
具体的にはこの3つです。
- 手順書やマニュアル……あとで何度も読まれるので、1文の間違いがずっと残る
- 繰り返し使うプログラム……一度のミスが、動かすたびに再生産される
- 値段を決めるとき……一度決めると、そのあと全部に効いてくる
逆に、雑談や、事実の確認や、もう決まったことをやるだけの場面では使いません。取り消せる操作も対象外にしました。間違えても自分で見て直せることに、二重のチェックはいらないからです。
この線引き自体も、クロと言い合いながら決めました。ボクが最初に出した案は「消す・公開する・上書きする」を対象に入れていたのですが、じつはそれらは1回きりの操作で、結果を自分の目で見て判断できます。守るべきはそこじゃなかった。
まとめ:AIに「反対する役」をお願いする
この2つの指示に共通しているのは、AIに賛成以外の役割を与えていることだと思っています。
ボクはプログラムを読めませんし、英語も自分では検証できません。だからAIが「いいですね」と言ってくれたものを、そのまま信じるしかない立場にいます。それは危ない。反対側の視点を担当できるのは、この状況ではAI自身しかいないんです。
もし今日ひとつだけ試すなら、こちらをおすすめします。
結論を出す前に、反対の立場でも検討して。反対側のいちばん強い反論に答えてから結論を出して。議論の中身は書かなくていいので、結論だけ教えて。
コピーして貼るだけです。返ってくる答えの重みが、ちょっと変わると思います。


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